
生理前になると、急に心が重くなる。
いつもなら流せる一言に、なぜか傷つく。
体もだるいし、眠りも浅い。
「私ってこんなに面倒だったっけ…」と自己嫌悪までセットで来る。
PMSは"気のせい"ではありません。
ただ、毎月のことだからこそ、完璧に対処するよりも「軽くする手順」を持っておく方が続きます。
この記事では、精油(アロマ)を"気分を整える合図"として使いながら、PMS週間をやり過ごしやすくするセルフケアをまとめます。
※精油は医薬品ではありません。PMS/更年期の症状を「治す」と断定せず、あくまで補助的ケアとして紹介します。重い症状がある場合は医療機関への相談をおすすめします。
目次
PMS・PMDD・更年期のゆらぎって、何が違うの?

生理前のイライラや落ち込みが続くと、「これはPMS?それとも別のもの?」と不安になりますよね。
ここでは、混ざりやすいPMS/PMDD/更年期(特に周閉経=perimenopause)の違いを、ざっくり整理します。
PMS(月経前症候群):生理前に心身の不調が出る
PMSは、生理前に起こりやすい心身の不調のまとまりです。イライラ、気分の波、眠りの乱れ、だるさ、むくみ、胸の張りなど、出方は人それぞれ。
特徴としては、生理が始まると軽くなる(または消える)パターンが多いことです。
主な症状:
- イライラ、怒りっぽくなる
- 気分の落ち込み、不安
- 眠気が強い、または眠れない
- 集中力の低下
- 体のだるさ、疲れやすさ
- むくみ、胸の張り
- 食欲の変化(過食または食欲不振)
PMDD(月経前不快気分障害):PMSの"重いタイプ"で、生活に支障が出る
PMDDは、PMSと同じく生理前に症状が出ますが、特に気分の症状が強く、仕事や家事、人間関係など日常生活に大きな支障が出ることがあります。
診断の考え方としても「生理前に出て、生理が始まると数日で改善し、月経後は落ち着く」といった周期との連動が重視されます。
こんな症状がある場合はPMDDの可能性も:
- 毎月のことだけれど、生活が回らないほどつらい
- 希死念慮が出る
- 感情の爆発が止められない
- 人間関係に深刻な影響が出る
もしこうした状態が続いているなら、早めに医療機関へ相談してください。PMDDには治療選択肢が整理されています。
更年期のゆらぎ(周閉経):周期自体が乱れやすく、"いつ来るかわからない波"になりやすい
更年期(閉経前後)の時期、とくに閉経へ向かう移行期は「周閉経(perimenopause)」と呼ばれます。ここではホルモンの変動が不規則になり、月経周期が乱れやすいことがよくあります。
気分の波や不安、睡眠の乱れなどが出ることもあり、PMSと似て感じる人もいます。
PMSが「だいたい生理前に出て、生理で軽くなる」ことが多いのに対し、周閉経は周期が揺らぐ分、症状のタイミングが読みづらくなるのがポイントです。
見分けのヒント(診断ではなく"観察ポイント")
生理前に強くなって、生理が始まると楽になる
→ PMS/PMDD寄り
気分症状が重く、生活に支障が大きい
→ PMDDの可能性も(早めに相談)
月経周期が不規則になってきた/読めなくなってきた
→ 周閉経の可能性も視野
※これらはあくまで目安です。自己判断せず、気になる症状があれば医療機関(婦人科・心療内科など)への相談をおすすめします。
PMSにアロマは役立つの?

PMSとアロマテラピーの研究
PMSに対するアロマテラピー介入については、ラベンダーの吸入などで心理面の症状が軽減したとする研究報告があります。
また、PMSに対する精油の効果をまとめたシステマティックレビュー/メタ解析も存在します。
研究の限界を理解しておこう
ただし、研究デザインや対象者、香りの種類、期間がさまざまで、「これさえやれば誰でも同じように良くなる」とは言えません。
個人差が大きく、すべての人に同じ効果があるわけではありません。
この記事での位置づけ
だから、期待値はこう置きます:
この記事のゴール:
- PMSを消す/治す → ではない
- イライラ・落ち込みの"波"を、少しだけ低くする
- 香りを「整える合図」にして、セルフケアが回る状態を作る
精油は、あくまで「自分を労わるための小さな道具」として使います。
まずは安全:精油の最低ルール

精油は濃縮物で、皮膚刺激や光毒性などのリスクがあります。
絶対に守ってほしいルール
- 原液を肌に直接つけない(必ず希釈)
キャリアオイルで薄めることが基本です - 目・粘膜に入れない/入ったら洗い流す
刺激が強いため、特に注意 - 柑橘(特にベルガモット等)を皮膚に使うなら日光注意
光毒性があり、皮膚反応を起こす可能性があります - 妊娠中・授乳中・持病・服薬中・喘息などがある人は慎重に
必要なら医療者へ相談してください - 飲用は避ける
精油の経口摂取は推奨されていません
PMS・更年期で特に注意したい精油
以下の精油は、ホルモンバランスに影響する可能性が指摘されているため、慎重に使用してください:
- クラリセージ:エストロゲン様作用があるとされる。妊娠中・授乳中は使用しない
- ゼラニウム:ホルモンバランスに影響する可能性。妊娠初期は控える
- フェンネル:エストロゲン様作用が強いとされる。婦人科系疾患のある方は避ける
※これらの精油を使用する場合は、必ず少量から試し、体調の変化に注意してください。
PMS週間のセルフケア:いちばん続けやすいこと

PMS期は「頑張るほど空回り」しやすいので、やることを固定します。
朝:スタートを軽くする(1分)
やること:
- カーテンを開ける(光を取り入れる)
- 水や白湯を一口飲む
- 香りを"ほんのり"吸う(1回)
- 「今日はPMSモード」と決める(予定を詰めない宣言)
ポイント:
「今日は無理しない」と自分に許可を出すだけで、心の負担が少し軽くなります。
昼:爆発しそうなときの"緊急スイッチ"(30秒)
やること:
- その場で肩を落として息を吐く
- 香りを1回(強くしない)
- 「返事はあとで」と決める(即レス禁止)
ポイント:
「怒りは6秒」という言葉もあります。イライラしたときに即レスすると、後悔しがち。いったんその感情は放っておいて「後で落ち着いてから」を合言葉に。
夜:眠りの合図を作る(3分)
やること:
- 明日の不安はメモに出す(頭の外に出す)
- 香りを寝る前だけ使う(毎晩同じ香り)
- 吐く息長めの呼吸を3分
ポイント:
PMS期は眠りが浅くなりがち。「寝る前の合図やルーティン」を作ることで、少しでも眠りやすい状態に寄せます。
※この「夜の整え」は、「脳疲労」をリセットして泥のように眠る夜のルーティン完全版とも自然につながります。
PMSで使いやすい香りの選び方

"香りの好み"は効果体感に影響します。ここは断定より「選び方」を重視します。
タイプ別:香りの方向性
A)ふっと力が抜ける系
代表的な精油:
- ラベンダー(真正ラベンダー)
- カモミール・ローマン
- ネロリ
特徴:
やさしく落ち着く香り。緊張やイライラが強い日に。ラベンダーは心理面のPMSで研究例もあります。
注意:
ラベンダーは一般的に安全性が高いですが、まれにアレルギー反応あり。妊娠初期は念のため控える。
B)落ち込みの夜をやわらげたい系
代表的な精油:
- ローズ(ローズオットー/ローズアブソリュート)
- ゼラニウム
- イランイラン
特徴:
花の甘い香り。心が沈む日、自分を労わりたいときに。ローズはPMSでの研究報告もあります。
注意:
ゼラニウムは妊娠初期は控える。ホルモンバランスに影響する可能性があるため、婦人科系疾患のある方は注意。イランイランは濃厚な香りで頭痛を起こす人もいるため、少量から。
C)もやもやを切り替えたい系
代表的な精油:
- ベルガモット
- スイートオレンジ
- グレープフルーツ
- レモン
特徴:
柑橘系の明るい香り。気分を切り替えたいときに。
注意:
柑橘系は皮膚に使用した場合、光毒性あり。使用後12時間は日光を避ける。ベルガモットは特に注意(フロクマリンフリーのものを選ぶと安全)。
D)地に足をつける系
代表的な精油:
- フランキンセンス
- サンダルウッド
- シダーウッド
特徴:
ウッディ系・樹脂系の落ち着いた香り。考えすぎて頭がいっぱいのときに。
注意:
フランキンセンスは一般的に安全性が高いですが、妊娠初期は念のため控える。
※PMSに特化したエビデンスは香りごとに濃淡があるため、この記事では"好みで選べる候補"として紹介しています。
すぐ作れる:PMS週間の香りレシピ5選

ここでは、PMS週間に使いやすい、目的別のアロマレシピをご紹介します。
全レシピ共通の注意:
- 精油は医薬品ではありません
- 飲用は避けてください
- 妊娠中・持病がある方は使用前に相談を
- 肌に刺激を感じたら即中止してください
レシピ1)いちばん簡単(吸入):イライラの直前に
材料:
- ティッシュ:1枚
- 精油:1滴
おすすめ精油:
- ラベンダー:1滴
- またはベルガモット:1滴
使い方:
- ティッシュに精油1滴を垂らす
- 机の端に置く(顔に近づけすぎない)
- 1回だけ、ゆっくり吸う → 長く吐く
ポイント:
道具ゼロで今すぐできる。イライラしたときの"緊急スイッチ"として。
【注意】
- 香りが強すぎると気分が悪くなることも
- 肌に触れないように
レシピ2)ピローミスト(50ml):眠りの合図に固定
材料:
- 無水エタノール:5ml
- 精製水:45ml
- 精油:合計3〜6滴(最初は3滴推奨)
おすすめブレンド:
- ラベンダー:2滴
- ネロリ:1滴
作り方:
- スプレーボトルにエタノール→精油の順で入れて振る
- 精製水を入れてさらに振る
- 使う前にも軽く振る
使い方:
- 空中に1〜2プッシュ(枕に近すぎないように)
- 毎晩同じ時間に使うと「寝る合図」になる
【注意】
- 目・粘膜にかからないように
- 肌に刺激を感じたら即中止
レシピ3)お守りロールオン(10ml):外で爆発しそうなとき
材料:
- キャリアオイル:10ml
- 精油:1〜2滴(かなり薄め)
おすすめブレンド:
- ベルガモット(フロクマリンフリー):1滴
- ラベンダー:1滴
作り方:
- ロールオンボトルにキャリアオイルを入れる
- 精油を加えてよく混ぜる
使い方:
- 手首ではなく腕の内側など少量から
- つけた後は深呼吸
【注意】
- 肌に合わなければ即中止
- パッチテスト推奨
- ベルガモットは光毒性に注意(日中使用する場合はフロクマリンフリー推奨)
レシピ4)落ち込みの夜用:バスオイル
材料:
- キャリアオイルまたは乳化剤:大さじ1
- 精油:合計3〜5滴
おすすめブレンド:
- ローズ(またはゼラニウム):2滴
- ラベンダー:2滴
- フランキンセンス:1滴
使い方:
- キャリアオイルに精油を混ぜる
- 浴槽に入れてよくかき混ぜる
- ぬるめのお湯で10〜15分
ポイント:
心が沈む夜、自分を労わる時間として。
【注意】
- 肌に刺激が出たらすぐ中止
- 長風呂は避ける
レシピ5)気分転換ブレンド:ディフューザー用
材料:
- 精油:合計4〜6滴
おすすめブレンド:
- スイートオレンジ:3滴
- ゼラニウム:2滴
- フランキンセンス:1滴
使い方:
- ディフューザーに水と一緒に入れる
- リビングや寝室で15〜30分
- 換気を忘れずに
特徴:
明るさと落ち着きのバランスが取れたブレンド。午後のもやもやタイムに。
【注意】
- 香りが強すぎる場合は滴数を減らす
- ゼラニウムは妊娠初期は控える
うまくいかない日の調整ポイント

「香りもセルフケアも効かない…」は普通にあります。失敗ではなく、調整です。
よくある困りごとと対処法
困りごと1:香りが気持ち悪い
→ PMSの時期は嗅覚が敏感になることも
→ 滴数を半分に減らす、または使わない日があってもOK
困りごと2:何をやっても気分が上がらない
→ そんな日は「何もしない」が正解
→ 横になって、好きな動画を見るだけでもセルフケア
困りごと3:周りに当たってしまった
→ 自分を責めない
→ 落ち着いたら「PMSでコントロールできなかった。ごめんね」と伝える
困りごと4:毎月つらすぎる
→ 我慢せず医療機関へ
→ PMDDには治療選択肢があります
「しんどいPMS」を一人で抱えないために:受診・相談の目安

以下に当てはまる場合は、セルフケアだけで抱えず、専門家への相談を検討してください。
すぐに相談すべきサイン
- 仕事や家事に支障が出る
- 気分の落ち込みが強く、つらさが続く
- 自分を傷つけたくなる考えが出る
- 人間関係が壊れそうになる
- 毎月同じパターンでつらさが繰り返される
こうした場合は、我慢せず相談を。重いPMS/PMDDには治療選択肢があります。
どこに相談すればいい?
- 婦人科:PMS/PMDDの診断と治療。ピルやホルモン療法など
- 心療内科・精神科:気分症状が強い場合。SSRI等の薬物療法も選択肢
- 女性の健康相談窓口:自治体によっては専門相談窓口あり
※「たかがPMS」と思わず、つらいときは早めに相談してください。あなたは一人ではありません。
まとめ:PMS週間は"やり過ごす"で十分

PMSは完全にコントロールできるものではありません。
でも、"波を少しだけ低くする"ことはできます。
今日からできる最小セット
- 朝、「今日はPMSモード」と決める
- 香りを微量(ティッシュ1滴でOK)
- 夜、寝る前の合図を作る
完璧を目指さなくていい。今日、少しだけ楽になれたら、それで成功です。
あなたのPMS週間が、少しでも穏やかなものになりますように。
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参考文献
- PubMed「PMSに対するラベンダー吸入の効果に関する研究」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/ - システマティックレビュー「PMSに対するアロマセラピーの効果」
関連するメタ解析・レビュー論文 - 日本産科婦人科学会「月経前症候群(PMS)診療ガイドライン」
- ACOG(米国産科婦人科学会)「PMDD治療ガイドライン」
- NCCIH(米国国立補完統合衛生センター)「アロマセラピーの基礎知識」
https://www.nccih.nih.gov/health/aromatherapy - NAHA(全米ホリスティックアロマセラピー協会)「精油の安全な使用ガイドライン」
https://naha.org/ - Tisserand Institute「精油の希釈と安全性」
https://tisserandinstitute.org/ - 日本女性心身医学会「女性のメンタルヘルスと更年期」
※この記事の内容は、医療行為や治療を目的としたものではありません。PMS/PMDD/更年期の症状が重い場合や、日常生活に支障がある場合は、医療機関(婦人科・心療内科など)への相談をおすすめします。
あなたの毎月が、少しでも穏やかなものになりますように。