
年末年始になると、なぜか心がざわつく。SNSを開けば、友人の家族写真、恋人との旅行、にぎやかな集まり。「みんな楽しそう」と思いながら、自分の予定のない週末カレンダーを見て、胸が詰まる。
「来年はどうなるんだろう」
「このままずっと一人なのかな」
「私、何か間違えたのかな」
布団に入っても、頭の中がうるさくて眠れない。呼吸が浅くなる。涙が出る。
実は、こうした年末年始の孤独感や不安は、あなただけの問題ではありません。ホリデーシーズンは、世界的に見ても孤独感やストレスが高まりやすい時期として、医療機関や公的機関からも注意喚起されています。
この記事では、「頑張って前向きに」ではなく、香りを"合図"にして、呼吸と体を整え、少しでも落ち着ける方向に寄せるセルフケアをご提案します。
治療ではなく、あくまで補助的なケアとして。でも、今夜から試せる小さな一歩として。
目次
1. 年末年始に孤独が強くなる理由

年末年始は、日常のバランスが崩れやすい季節です。
環境の変化:
- 生活リズムが乱れる(寝る時間・食事・移動)
- 仕事の締切・家族行事・帰省などで疲れやすい
- "理想の年末年始"の情報(広告・SNS・テレビ)が増える
- 「私はこうあるべき」という圧が強くなる
それが重なると、人は自然に自分を他人と比べます。比べた結果、心がしんどくなるのは当たり前です。しかも年末年始は「楽しく過ごして当然」という空気があるので、しんどさを言いにくい。
世界保健機関(WHO)や米国の公的機関SAMHSA、その他の医療関連の発信でも、ホリデーシーズンはストレス、孤独、気分の落ち込みが強まりやすいことが繰り返し注意喚起されています。
だからまず最初に、ここだけは確認させてください。
あなたが感じている「寂しさ」や「不安」は、異常ではありません。
むしろ、環境の変化にちゃんと反応しているサインです。
2. 香りでできること・できないこと

精油(アロマテラピー)は「治療」ではありません。ただし、補助的なセルフケアとして、研究対象になっている領域はあります。
睡眠との関連性を示す研究
たとえば「睡眠」について、ラベンダー精油を中心に、成人を対象にしたランダム化比較試験(RCT: 科学的信頼性の高い研究手法)をまとめたメタ解析(複数の研究結果をまとめて分析する方法)で、睡眠の質に何らかの関連性を示す報告があります。
一方で、対象が高齢者中心だったり、期間が短かったり、方法がバラバラだったりと、研究の限界もあります。つまり、"万能"ではありません。
この記事での位置づけ
香りが助けになる可能性がある場面:
- 気分の切り替えのきっかけとして
- 「寝る前の合図」「落ち着く合図」を作る
- ルーティン(習慣化)のスイッチになる
香りではできないこと:
- 不眠症やうつなどの治療の代替になる
- 原因を根本から"消す"
- 使えば必ず眠れる、必ず不安が消える(断定できない)
香りは「効かせるもの」ではなく、自分を整えるための"合図"として使うのがいちばん安全で、続けやすい方法です。
3. 安全に使うための最低ルール

精油は自然由来ですが、「安全に使う前提」があります。
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)も、アロマテラピーは主に吸入や、希釈して皮膚に使う形で用いられると説明しています。
絶対に守ってほしいルール
- 原液を皮膚に塗らない(基本は希釈)
皮膚に使う場合、未希釈(原液)での使用は刺激やトラブルの原因になり得るため、希釈が重要です。 - 飲用は避ける
精油の飲用はリスクがあり、むやみに摂取しないよう注意喚起されています。 - 体調が悪い日・頭痛が出る日は中止
無理せず、香りが心地よく感じられるときだけ使いましょう。 - まずは「少量」「短時間」から
香りが強すぎると逆にしんどくなることがあります。 - 妊娠中・持病・服薬がある場合は慎重に
必要であれば専門家に相談してください。 - 子どもやペットがいる空間は特に慎重に
換気・微量・届かない場所での使用を心がけましょう。
4. ざわつく夜を落ち着かせる:香りのメンタルケア5ステップ

この5ステップは、年末年始の「孤独」「不安」「SNS疲れ」が強い夜に、心を立て直すための流れです。
全部やらなくてOK。一番やりやすいところだけで大丈夫です。
ステップ1:SNSは「見ない」じゃなく「時間を区切る」
なぜこれをやるか:
意思で止めようとすると負けやすいので、仕組みにします。
具体的な方法:
- タイマーを10分にセット
- 見終わったら、スマホを充電場所に置く(寝室の外が理想)
- どうしても触りたくなったら「通知だけオフ」にする
ポイント:
年末年始は情報刺激が強い時期。入力を少し減らすだけで、脳の騒がしさが下がります。
ステップ2:香りを「寝る前の合図」に固定する
なぜこれをやるか:
寝る前だけ同じ香りを使うことで、"今から休む"のスイッチが作りやすくなります。
具体的な方法:
- 毎晩、同じ香りを寝る30分前に使う
- ディフューザー、ピローミスト、ロールオンなど形式は自由
ポイント:
大事なのは、精油の種類よりも「寝る前だけ使う」というルール。眠る前のルーティーンとして香りが「合図」になれば成功です。
ステップ3:3分呼吸(香り+呼吸をセットにする)
なぜこれをやるか:
"気持ちの問題"を、まず"身体の操作"でほどいていきます。
具体的な方法:
- 香りを軽く感じながら、吐く息を少し長めに
- 鼻から吸う(3〜4秒)
- 口から吐く(5〜6秒)
- これを3分
ポイント:
「落ち着かなきゃ」ではなく、「息だけ整える」。それだけで十分です。
ステップ4:不安は「考える」より「書き出す」
なぜこれをやるか:
不安は頭の中で反芻すると膨らみやすい。紙に出すと、サイズが測れるようになります。
具体的な方法:
- 今日しんどかったこと(箇条書きで3つ)
- いま不安なこと(箇条書きで3つ)
- 明日じゃなくてもいいことに○をつける
ポイント:
解決策は今いりません。「外に出す」だけで、脳の負担が少し軽くなります。
ステップ5:身体からゆるめる(入浴/温かい飲み物)
なぜこれをやるか:
心は体に引っ張られます。体を温めることで、心も少しゆるみやすくなります。
具体的な方法:
- シャワーでもいいので温める
- または温かい飲み物をゆっくり飲む
- 香りを足すなら、入浴(アロマバス)が相性が良い
ポイント:
「完璧に温まろう」ではなく、「少しだけ体温を上げる」で十分です。
5. 年末年始の気分別:香りの選び方(3タイプ)

ここは「この精油が効く」と断定するパートではありません。"そう感じやすい香りの方向性"として選び方のヒントを置きます。
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)の説明にもある通り、アロマテラピーで使われる精油は多種多様で、吸入・希釈塗布など使い方も幅があります。
A)胸がざわざわ(緊張・不安が強い)
おすすめ方向性:
やさしいフローラル/落ち着くハーブ調
具体例:
- ラベンダー系(定番。睡眠の研究も比較的多い)
- カモミール調
- "深呼吸したくなる"香り
ポイント:
強い香りで一気に変えようとしない。微量でOK。
B)気持ちが沈む(空虚・孤独)
おすすめ方向性:
重すぎない明るさ/柔らかい甘さ
具体例:
- シトラスの軽さ(※強すぎると逆に疲れる人もいる)
- やさしい花の甘さ
- "部屋の空気が少しだけ変わる"感じ
ポイント:
沈んだときは「元気系」を足しすぎると疲れることもあります。少量で。
C)考え事が止まらない(頭が回りすぎる)
おすすめ方向性:
ウッディ/樹脂系/深い落ち着き
具体例:
- 森のような香り
- "地に足がつく"感じの香り
- 単体よりブレンド少量が合う人も
ポイント:
ここでも「香りを強くしない」。静かに背景へ置くのがコツ。
6. 今夜からできる:安全なレシピ3つ(初心者向け)

以下は「簡単・安全寄り」の配合です。体質や環境で合わないこともあるので、違和感があれば中止してください。
全レシピ共通の注意:
- 皮膚に使う場合は必ず希釈を(刺激を避けるため)
- 飲用は避けてください(リスクがあるため)
- 妊娠中・持病がある方は使用前に相談を
レシピ1)寝る前の合図:ピローミスト(50ml)
材料:
- 無水エタノール:5ml
- 精製水:45ml
- 精油:合計3〜6滴(まずは3滴でもOK)
作り方:
- スプレーボトルにエタノール→精油の順で入れて振る
- 精製水を入れてさらに振る
- 使う前にも軽く振る
使い方:
- 枕そのものではなく、空中に1〜2プッシュ(香りが強すぎないように)
- 目や粘膜にかからないように注意
【注意】
- 肌に刺激を感じたら即中止
- 香りが強すぎる場合は精油の滴数を減らす
レシピ2)今日は終わりを体に伝える:アロマバス
材料:
- 天然塩:大さじ2〜3
- 精油:合計2〜4滴(敏感肌なら2滴から)
作り方:
- 塩に精油を混ぜる
- 浴槽に入れてよくかき混ぜる
使い方:
- 38〜40℃のぬるめのお湯で10〜15分
- 長く入りすぎない
【注意】
- 肌に刺激が出たらすぐ中止
- 心地よさが最優先
- 妊娠中・持病がある方は使用前に相談を
レシピ3)外出先・帰省先のミニ避難所:ロールオン(10ml)
材料:
- キャリアオイル:10ml(ホホバなど)
- 精油:合計1〜2滴(かなり薄め)
作り方:
- ロールオンボトルにキャリアオイルを入れる
- 精油を加えてよく混ぜる
使い方:
- 手首や首筋ではなく、まずは腕の内側など目立たない場所で少量から
- 刺激やかゆみが出たら使用をやめる
【注意】
- 希釈しても刺激は起こり得ます
- パッチテスト(少量を肌につけて24時間様子を見る)を推奨
- 目の周りや粘膜には使用しない
7. それでもつらい夜に:うまく眠れないときの諦め方

「眠らなきゃ」と焦るほど、眠りは遠ざかります。そんな夜は、目標を変えてください。
目標の変換:
- 眠ること → 体を休ませること
- 正解の行動 → いちばん害が少ない行動
具体的には
- 部屋を暗くして、スマホは見ない
- 音が欲しいなら落ち着く環境音
- 香りは微量(強くしない)
- 呼吸だけ整える
- 「寝られない自分」を責めない
ホリデーシーズンのメンタル不調は珍しくなく、つらさが長引くなら相談先につながることも推奨されています。米国の公的機関SAMHSAも、ホリデーシーズンのストレスへの対処やセルフケアを提案しています。
また、不安や落ち込みが2週間以上続くなどの場合は医療者に相談する目安が示されることがあります。
8. 受診・相談の目安(ひとりで抱えない)

以下に当てはまる場合は、セルフケアだけで抱えず、専門家への相談を検討してください。
相談を検討すべきサイン:
- 眠れない/気分の落ち込みが続き、日中の生活に支障がある
- 食欲が極端に落ちた、または過食が止まらない
- 不安で動悸・過呼吸が出る
- 「消えてしまいたい」など危険な考えが浮かぶ
ホリデーシーズンに孤独・不安・落ち込みが増えることは、医療・公的な発信でも繰り返し触れられています。
つらいときは"気合い"ではなく"支援"が必要な場面があります。
年末年始は「回復の季節」にしていい

年末年始の孤独感は、あなたの性格の問題ではありません。季節・環境・比較が重なって、自然に強くなるものです。
世界保健機関(WHO)をはじめとする医療機関や公的機関も、ホリデーシーズンの心理的負担について注意喚起しています。
香りは治療ではないけれど、「寝る前の合図」「落ち着く合図」として、あなたを守る小さな道具になれる可能性があります。
今夜の最小セット(3分でOK)
- SNSを閉じる(タイマーで区切る)
- 香りを微量(寝る前の合図)
- 吐く息を長めに3分
それだけで十分です。
"良い年末年始"より、"回復できる年末年始"を、あなたに。
睡眠習慣をさらに深めたい方へ
こちらの記事もあわせてどうぞ:
- 「脳疲労」をリセットして泥のように眠る夜のルーティン完全版
スマホ断ち・光・香り・思考の片づけで"眠れる脳"を作る具体的な方法 - 夜眠れないときに使いたいアロマブレンド&呼吸法香りで"眠りスイッチ"を入れるセルフケア
- 【随時追加中】アロマブレンドレシピまとめ
スプレー・バスソルト・オイルの目的別レシピ集
参考文献
- 世界保健機関(WHO)「ホリデーシーズンのメンタルヘルス」
https://www.who.int/ - SAMHSA(米国薬物乱用・精神衛生管理庁)「ホリデーシーズンのストレス対処」
https://www.samhsa.gov/ - Institute of Mental Health, Singapore「ホリデーブルーとメンタルヘルス」
https://www.imh.com.sg/ - PubMed「ラベンダー精油と睡眠の質に関するメタ解析」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/ - Science Direct「アロマセラピーと睡眠改善の研究」
https://www.sciencedirect.com/ - NCCIH(米国国立補完統合衛生センター)「アロマセラピーの基礎知識」
https://www.nccih.nih.gov/ - Children's Hospital of Philadelphia「精油の安全な使用ガイドライン」
https://www.chop.edu/ - Tisserand Institute「精油の希釈と安全性」
https://tisserandinstitute.org/ - Medical News Today「精油の飲用リスクについて」
https://www.medicalnewstoday.com/ - Deconstructing Stigma「ホリデーシーズンのメンタルヘルス支援」
※この記事の内容は、医療行為や治療を目的としたものではありません。精神的な不調が続く場合や、日常生活に支障がある場合は、医療機関(心療内科・精神科など)への相談をおすすめします。
あなたの夜が、少しでも穏やかなものになりますように。